今回はステロイドについて説明します。
ステロイド剤
ステロイドとは、もともと体内の副腎(ふくじん)という臓器で作られているホルモンのこと。
このホルモンがもつ作用を薬として応用したものがステロイド剤(副腎皮質ステロイド薬)です。
ステロイドは危ない?
ステロイドと聞くと、危ないとか怖いというイメージを持つ方がいるかと思いますが、使い方さえ間違えなければ
全く 危なくありません。
しかし、使い方を間違えると、肌がボロボロになるので注意が必要です。
ステロイドの作用
どういう症状を改善できるか
・ 細胞増殖抑制作用
・ 血管収縮作用
・ 免疫抑制作用
抗炎症作用
→炎症を促す物質の産生を抑制
細胞増殖抑制作用
→炎症反応を引き起こす細胞の増殖を抑制
血管収縮作用
→炎症部の血管を収縮させることで、赤みを和らげる
免疫抑制作用
→抗体の産生を抑制し、免疫機能を低下させる
ステロイドの種類
主に3つに分類されます。
・内服薬
・注射薬
外用薬 ステロイド軟膏がほとんどの割合を占めます。
患部により吸収率が違うので、ステロイド剤の強さで使い分ける必要があります。
ステロイドの強さ
ステロイドは5段階の強さに分類されます。
〇最も強い (strongest)
ジフロラゾン酢酸エステル(0.05%)
→ 最も体に吸収されやすい成分を使用。含まれる成分量は少ないが、作用が強いため原則として子供には処方されない。連続使用の場合、大人で1週間以内を目安に。
〇とても強い (very strong)
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(0.05%)
フルオシノニド(0.05%)
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(0.064%)
ジフルプレドナート(0.05%)
ジフルコルトロン吉草酸エステル(0.1%)
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(0.1%)
→ 大人では体幹部、子供では腕や足など四肢に処方されることが多い。大人の場合、連続使用は1週間以内、子供の場合は数回にとどめるよう注意を。
〇強い (strong)
デキサメタゾンプロピオン酸エステル(0.1%)
デキサメタゾン吉草酸エステル(0.12%)
ベタメタゾン吉草酸エステル(0.12%)
フルオシノロンアセトニド(0.025%)
→ 大人への処方は全身~体幹部限定、子供の場合は顔や陰部を除く体幹部。連続使用は大人で2週間以内、子供で1週間以内に。市販で手に入るのは、このランクまで。
〇普通 (medium)
クロベタゾン酪酸エステル(0.05%)
ヒドロコルチゾン酪酸エステル(0.1%)
デキサメタゾン(0.1%)
トリアムシノロンアセトニド(0.1%)
→ 大人・子供ともに、顔を含めた全身に処方される。連続使用は、大人は2週間以内に、子供は1~2週間以内に。
〇弱い (weak)
ヒドロコルチゾン
→ ステロイド成分は体に吸収されにくいものの、含まれる量は多いので、安心できない。薬を最も吸収しやすいお尻や陰部にも処方される。連続使用は、大人も子供も2週間以内に。
全ての成分の名前を覚える必要はありません。
外用薬の主な副作用
ステロイド外用薬の副作用です。
局所性副作用
塗った部分に現れる可能性がある副作用
・ 皮膚の萎縮
・ 毛細血管の拡張(特に顔面)
・ 乾皮症(肌の乾燥)
・ 感染症の誘発 悪化
・ 酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎、紅潮
全身性副作用
皮膚を通して吸収されて、全身に現れる可能性がある副作用
・ 小児における成長障害
・ 成人におけるクッシング症候群(ホルモンバランスの乱れによる、肥満や高血圧、うつ、骨粗しょう症など)
・ 糖尿病の誘発 悪化
どんな薬も、副作用のリスクがないものはありません。
用法、用量を守って、正しく使用することが大切です。
どこで手に入るの?
ステロイドはドラッグストアで買えます。
有名なものを紹介すると
フルコートF/田辺三菱薬品
【第2類医薬品】
ステロイド薬+抗生物質(化膿止め)
ベトネベートN軟膏AS/第一三共ヘルスケア
【第2類医薬品】
ステロイド薬+抗生物質(化膿止め)
プレバリンα/ゼリア新薬
【第2類医薬品】
ステロイド薬+抗生物質(化膿止め)+かゆみ止め
ムヒアルファEX/池田模範堂
【第2類医薬品】
ステロイド薬+抗ヒスタミン剤+かゆみ止め
などがあります。
アンテドラッグ
市販のステロイド薬は『 アンテドラッグ 』
アンテドラッグ → 副作用のリスクを抑えた塗り薬のこと。
塗り薬を患部に塗ると、しっかりと効果を出し、速やかに代謝され、作用がなくなるよう、工夫されています。これにより、より局所に作用し、全身への副作用の症状が出るリスクを抑えることができます。
副作用が心配な方は、アンテドラッグを選択しましょう。
注意点
ステロイドは、長期連用を避ける必要があります。
ステロイドには『依存性』があるからなのです。
使い続けることで起こる、副作用もあります。
詳しく知りたければ、こちらの記事をご覧ください。
2週間程度塗っても治らない場合は、皮膚科に相談しましょう。