鎮咳去痰成分

今回は、鎮咳去痰(ちんがいきょたん)成分について解説します。

鎮咳 → 咳(せき)を止める
去痰 → 痰(たん)を止める

咳と痰は併発することが多いため、鎮咳去痰薬としてまとめられています。

それでは、詳しくみていきます。

鎮咳成分

鎮咳成分とは、咳止めのことです。

市販薬でよく使われている成分はこちらです。

  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
  • ジヒドロコデインリン酸塩
  • ノスカピン
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物

非麻薬性の鎮咳薬です。
咳を引き起こす咳中枢の抑制作用や気道を広げる作用などにより咳などの呼吸器症状を緩和します。
眠気を催すことがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作は注意する必要がある。

ジヒドロコデインリン酸塩

咳中枢に作用する「中枢性鎮咳薬」です。
一般的な咳止め薬が効かない頑固な咳にもよく効きます。
国内では咳止めとして処方されることが多いですが、海外では中等度のがん痛にも用いられます。

ノスカピン

咳中枢に作用する速効性の「非麻薬性中枢性鎮咳薬」です。また、気管支をゆるめる作用も持ちあわせています。麻薬系の咳止め薬と異なり、呼吸を抑制することなく、また習慣性もありません。

去痰成分

去痰成分とは、痰を切る成分です。
市販薬でよく使われている成分はこちらです。

  • ブロムヘキシン塩酸塩
  • カルボシステイン
  • グアイフェネシン
ブロムヘキシン塩酸塩

去痰薬の代表的な成分である。
痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくします。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助けます。

カルボシステイン

去痰薬の成分のひとつで、痰の排出を容易にする目的で配合されています。

グアイフェネシン

グアイフェネシンは、気道にからんだ痰を咳で出しやすくする成分です。咳を抑える効果があるかは不明のようです。

アドレナリン作動成分

鎮咳去痰薬には、アドレナリン作動成分が配合されていることが多いです。
収縮した気管支を広げて気道を確保することで、咳をしずめるとともに、痰を出しやすくします。

アドレナリン作動成分はこちらです。

  • ナファゾリン塩酸塩
  • プソイドエフェドリン塩酸塩
  • テトラヒドロゾリン塩酸塩
  • フェニレフリン塩酸塩

咳の種類

咳といっても、出る原因はさまざまで、種類異なります。

安易に止めない方がいい咳もあるので知っておきましょう。

■止めた方がいい咳
→痰のない乾いた咳

【使用する薬】
中枢性鎮咳剤
→ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩など

痰がからまない、乾性の咳です。
中枢性鎮咳剤は、咳中枢に直接作用し、咳反射を抑制することにより、咳を止めます。

■止めない方がいい咳
→痰がからんだ湿った咳

【使用する薬】
末梢性鎮咳剤
→メチルエフェドリン塩酸塩、ジプロフィリン、マオウエキスなど

末梢性鎮咳剤は、気管支を拡げて呼吸を楽にすることで、「咳」や「喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)」の症状を鎮めます。

中枢性鎮咳剤には、麻薬性と非麻薬性がある。

[麻薬性]:リン酸コデイン
[非麻薬性] :デキストロメトルファン

痰はなぜ出る?

痰は、生体に不要なもの(ウィルス・細菌・異物)を体外に追い出すために気道粘膜から過剰に出てくる分泌物です。異物を痰がからめ取って、線毛で運び出してくれます。(粘液線毛輸送)

痰の色は健康のバロメーター

痰の色で健康状態がわかります。

健康→無色透明
たばこを吸う人→灰色もしくは半透明
細菌やウイルスに感染している→黄色や緑黄色、時には血の混じった血たんが出る

ぜんそく(気管支ぜんそく)

空気の通り道である「気道」が狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。

ぜんそくは、薬などできちんとコントロールされれば、健康な人と同様の生活を送ることは可能です。

原因は

  • 気管支の筋肉の収縮
  • 気管支粘膜の浮遊
  • 痰の分泌など

→気管支が狭窄して苦しくなる

狭くなった気管支で無理矢理呼吸しようとするために、呼吸のたびにひゅーひゅー、またはぜーぜーといった音が出る。

■ぜんそくの主な症状

胸部圧迫感、咳、喘鳴、呼吸困難

咳ぜんそく

長引く咳のの原因として最近注目されているのが『咳ぜんそく』です。

慢性の咳の約4割が咳ぜんそく

乾いた咳が8週間以上続く場合は『咳ぜんそく』を疑いましょう。

咳ぜんそくの特徴

咳ぜんそくの特徴をまとめました。

  • 痰のない乾いた咳続く
  • ぜーぜー・ひゅーひゅーというぜんそく特有の喘鳴はない
  • 風邪が引き金となり、咳症状が長引く
  • 夜間から明け方にかけて咳が出る
  • 冷たい空気、煙草の煙、ハウスダスト、運動などにより咳込みやすい
  • 台風や季節の変わり目などで悪化しやすい

おわり

今回は、咳や痰に効果がある成分から、ぜんそくの症状まで深掘りして解説しました。

咳が長引くときは、薬に頼らず、病院で診てもらうことをおすすめします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。