今回は、鼻炎薬について解説します。
呼吸が苦しくて眠れない、会議中に鼻水がスーっと垂れてくるなどといった経験はありませんか?
こんなとき、助けてくれるのが鼻炎薬です。
今回はそんな鼻炎についてみていきましょう。
鼻炎の種類
鼻炎は大きく3つに分けられます。
■風邪による鼻炎
これは、誰でも経験がある、風邪を引いたときに、鼻水や鼻づまりの症状がでる鼻炎です。
■慢性鼻炎
慢性鼻炎は、長期間、鼻の粘膜に生じる慢性の炎症です。 原因は様々で、原因を特定できない事もあります。
体質だったり、アレルギー物質が関係していることが多いです。このあとのアレルギー性鼻炎も慢性鼻炎のひとつです。
■アレルギー性鼻炎
花粉やホコリなどのアレルゲン(アレルギー物質)に体が過剰に反応し、鼻炎の症状がでます。
花粉症もこのアレルギー性鼻炎です。
鼻炎薬成分
鼻炎の薬は「内服薬」と「点鼻薬」に分けられます。
点鼻薬→鼻スプレー
内服薬と点鼻薬では成分が多少異なります。
成分は以下の通りです。
内服薬
内服薬とは飲み薬のことで、服用することで鼻づまり、鼻水が解消されます。
鼻水、鼻づまりを改善する成分は抗ヒスタミン剤と抗コリン剤に分けられます。
【抗ヒスタミン】
■鼻水くしゃみ鼻づまりを抑える
→アレルギー症状を抑える
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- クレマスチンフマル酸塩
- ジフェニルピラリン塩酸塩
- ジフェンヒドラミン塩酸塩
〈第一世代〉
クロルフェニラミンマレイン酸塩
体内でヒスタミン受容体に働いてヒスタミンの作用を抑え、アレルギー症状を抑える「抗ヒスタミン薬」としては古くから使用されているものです。
また、脳の中枢や内耳の自律神経の働きを抑えてめまいや吐き気を起きにくくする作用により、乗物酔い防止薬にも配合されています。
クレマスチンフマル酸塩
昔から使われている代表的な抗ヒスタミン薬です。比較的速効性で、持続時間もあります。
くしゃみや鼻水、かゆみによく効きますが、鼻づまりにはあまり効きません。
脂溶性が高く脳に入りやすいので、眠気や集中力の低下といった中枢抑制作用もみられます。
ジフェニルピラリン塩酸塩
抗ヒスタミン作用でくしゃみや鼻水を和らげる。すでに起こってしまったアレルギー症状に効き、強い眠気を伴うことがある。
アレルギーの発症には、ヒスタミンという体内物質が関与しています。 このお薬は、そのヒスタミンの受容体をブロックして、アレルギー症状を止めます。
ジフェンヒドラミン塩酸塩
抗ヒスタミン剤の中でもよく使われており、総合感冒薬(かぜ薬)や鼻炎薬、外用のかゆみ止めなどに含まれており、眠気をもたらすことが知られています。
比較的速効性で作用時間は短いです。くしゃみや鼻水、かゆみによく効きますが、鼻づまりにはあまり効きません。市販薬においては睡眠薬としても販売されています。
- フェキソフェナジン塩酸塩
- セチリジン塩酸塩
- エピナスチン塩酸塩
〈第二世代〉
フェキソフェナジン塩酸塩
フェキソフェナジンは、花粉症薬、アレグラ(久光製薬)に含まれる成分です。
アレルギー専用薬で、眠くなりにくいのが特徴でです。
1日2回朝夕で服用します。
セチリジン塩酸塩
セチリジンは、日本で初めて医療用医薬品を配合したコンタック鼻炎ZやストナリZの主成分です。
1日1回就寝時に服用することで、次の日1日効果があるのが特徴です。
エピナスチン塩酸塩
エピナスチンは、花粉症薬、アレジオン(エスエス製薬)に含まれている成分です。
眠くなりにくいのが特徴で、1日1回、就寝前に服用することで次の日1日中効きめがあるのが特徴です。
抗ヒスタミン剤には、第一世代と第二世代があります。第一世代は昔からあるヒスタミン剤で、第二世代は近年市販薬に多くなってきた眠気が少ないアレルギー薬です。
第一世代と第二世代の違い
- 第一世代の方が効果が早くでる
- 第二世代の方が副作用少ない
【抗コリン】
■鼻水の過剰な分泌を抑える
→鼻水の分泌を元から抑える
- ヨウ化イソプロパミド
- ベラドンナ総アルカロイド
■炎症を抑える
- グリチルリチン酸二カリウム
- トラネキサム酸
内服薬には、これらの成分が配合されています。
抗ヒスタミンと抗コリンてなに?と思う人もいると思いますが、難しい話なので、ここでらどちらも鼻水を抑える成分と思ってください。
点鼻薬
点鼻薬とは、鼻づまりを解消する目的で使われます。
■ 血管収縮作用により鼻粘膜充血を緩和
- ナファゾリン塩酸塩
- プソイドエフェドリン塩酸塩
- テトラヒドロゾリン塩酸塩
- フェニレフリン塩酸塩
→鼻づまりの解消
■鼻の炎症を抑える
- グリチルリチン酸二カリウム
→荒れた鼻粘膜を修復
■殺菌消毒成分
- ベンザルコニウム塩化物
- ベンゼトニウム塩化物
→バイ菌やウイルス除去
点鼻薬は、上記の3種の成分が1つずつ配合されているのが一般的です。
鼻炎薬の副作用
副作用とは、体に起こる望ましくない効果のことです。
鼻炎薬による副作用は
- 眠気
- 分泌液の低下
この2つはよく起こります。
鼻炎薬は眠気がでる
はじめに言っておきますが
眠くならない鼻炎薬はありません。
鼻炎薬に含まれる抗ヒスタミン剤、抗コリン剤は、副作用として眠気が出るのが一般的です。
抗ヒスタミン剤を服用後は、自動車の運転、高所での作業、機械の操作などは控えましょう。
眠気が嫌、でも鼻水を止めたい人は、眠気をとる薬と併用するとよいでしょう。
分泌液の低下
もうひとつの副作用が、分泌液の低下です。
鼻水を止める=体のあらゆる水分を止めるため、副作用でのどの乾きが現れます。
- のどが渇く
- 口が渇く
- 尿がでにくくなる
- 便秘
便秘気味の人、排尿困難の人は飲む前に気をつけましょう。
分泌液が低下するのは、抗ヒスタミン、抗コリンによるものです。
抗コリン薬(副交感神経遮断薬)
抗コリン薬は鼻水の腺分泌を抑制し、鼻水を押さえます。
→からだの分泌液が減少
つまり、鼻水は止まりますが、くしゃみ、鼻づまりには効果が期待できません。
副作用として、口の渇き、おしっこが出にくい、目のちらつきやまぶしさ、眼圧の上昇などが言われており、緑内障や排尿困難の方は注意が必要です。
妊婦、授乳婦はどうする
花粉症や鼻炎もちの妊婦や授乳婦は薬は飲めないのでしょうか?
■妊婦
妊婦については、妊娠周期によっては服用できます。
■授乳婦
- 授乳中の人は服用しない
- 服用する場合は授乳を避ける
■どうしても、症状が辛い場合
→小青竜湯なら大丈夫
花粉症や鼻炎など、鼻の諸症状に効果のある漢方薬です。
おわり
鼻炎薬には、内服薬と点鼻薬があり、内服薬は、抗ヒスタミン剤と抗コリン剤に分けられることがわかりました。
どの鼻炎薬の成分も眠気はつきもので、いかに眠気とうまく付き合って、症状を抑えられるかがポイントになります。